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【蔵弥一・久耀】 鹿児島県・種子島酒造
鹿児島県の種子島は日本初の鉄砲伝来の地であるほか、約300年前に琉球王朝から贈られたカライモ(サツマイモ)が日本で初めて栽培された地でもあります。その昔、前田利衛門が琉球から甘藷(さつま芋)を持ち帰り、鹿児島の山川の地で栽培を始めたのが1705(宝永2)年の事。それから鹿児島県中に芋作りが広まっていきました。しかし、それよりも7年前に、種子島の島主が琉球の王から甘藷を贈られ、試作をさせたと今に伝わっています。
海に囲まれ温暖な気候の種子島。標高は最高点でも283メートルと平坦な地形で、海側から見ると殆ど平らにしかに見えません。そして、この島の土壌はミネラル分を豊富に含んでいます。これらの自然条件はサツマイモの栽培に最適。日本で初めてさつま芋が作られたこの地、種子島では芋焼酎造りへの熱意が農業まで深くかかわっています。
種子島酒造では2000(平成12)より、原料とする芋の全てを自社農園で減農薬・有機栽培しています。多くの焼酎蔵がありますが、全量自社農園産の芋を使用している蔵元は、ほとんどありません。掘ったばかりの新鮮な原料芋をその日のうちに、遅くとも翌日までに焼酎として仕込めるのも自社農園の強みでもあります。
同蔵の自社農園畑には貝化石や酵素を混ぜ込みます。元々ミネラル分の多い種子島の土壌に、ミネラルや微量成分を更に補強されたこの畑からは、糖度が高く、デンプン質の多い芋が収穫されます。これらの芋は完全発酵しやすくなり、美味しい芋焼酎へと導いてくれます。また、同蔵では環境を考え、焼酎造りの副産物として出る焼酎カスを、肥化プラントを導入して自社農園に農地還元しています。本来なら投棄されていた焼酎カスに含まれる様々な成分が良い土を作り、そこで良質の芋が育ち、美味しい芋焼酎が出来る…という理想のサイクルが確立されています。美味しい芋焼酎造りに欠かせられないモノが、芋とは別にもうひとつあります。それは、水です。同蔵では
1902(明治35)年の操業以来、蔵の地下306mから、古代第3紀層の水脈に湧く「岳之田湧水」(写真左)を焼酎づくりに使用しています。口に含むと甘く、とろりとした円い感触がする、軟水系で鉄分の少ない清らかなこの天然深層地下水は、焼酎づくりにはまさに最適の水。地下からの恵みである岳之田湧水に、原料芋や麹、作り手たちの技と思いが溶け込んで、まろやかな味、そして飲むたびに感動を覚える卓越した芋焼酎が出来上がるのです。
世に送る芋焼酎の銘柄は「九耀(くよう)」「紫(ゆかり)」「安納」「蔵弥一」等。特に「蔵弥一」は流通も限定されており、当店お奨めの芋焼酎でもあります。南国・種子島に出かけた気分にさせてくれる芋焼酎。どうか、お好みの飲み方でお楽しみくださいませ。
2010年6月15日発売の月間ヤングジャンプ6月号で、特別読切として掲載された漫画「ヤスキヨ」は、種子島酒造社長の曽木安清さんのお話。ストーリーを簡単にご紹介させていただきます。
1947(昭和22)年に種子島酒造社長の曽木安清さんは奈良で生まれました。曽木さんの父は紡績工場を営み、盛業でしたが、失火により没落。幼かった曽木さんは、母の故郷である種子島で極貧生活を余儀なくされますが、持ち前のバイタリティで乗り切っていきます。中学を出てから、大工、板前、ボクサーなど様々な職業を経験した後、あらゆる事業を展開する実業家として大成功を収めます。そこへ、種子島の某銀行支店長から、老舗である種子島酒造の経営権を買い取ってほしいという相談を受けます。当時の種子島酒造の累積赤字は4億円以上。当然のごとく周囲の誰もが火中の栗を拾うようなものだと反対しますが、曽木さんは経営を請け負う事を承諾。『俺には、種子島に長いこと住ませてもらった恩義がある。その中の潰れかけた企業をひとつ復興させて島の活気を取り戻したい…。引き受けたからにはこの事業を成功させるために全力でやるしかねぇ!』と心に決めます。
そこから曽木安清さんの焼酎づくりへの挑戦が始まりました。潰れかけの蔵元では芋も売ってもらえない。上質の芋を手に入れる為に、自家農園を造ることからスタートし、その農園に安納芋を植えました。種子島の安納芋といえば、今では都内のデパートで焼き芋として1本1000円の高値で売買される事もある高級芋。しかし、芋作りのノウハウを何も知らない当時の安清さんは失敗の連続。自分が納得のいく芋焼酎ができるまで出荷はしないと覚悟を決め、試行錯誤の数年間。有機肥料にこだわり、害虫予防の農薬と除草剤を使用しないという、妥協を許さない芋作り。やっとの思いで芋焼酎が出来上がります。
挑戦心があり、大胆な人物を鹿児島弁で「ぼっけもん」と言います。周りに何を言われても頑なに信念を曲げず、己を貫き、凛々しくも武骨、頑固な生き方をする「ぼっけもん・曽木安清」さんが求めた至高の芋焼酎への挑戦をストーリーにした漫画でした。
今日でも曽木社長自ら畑に入り、芋作りをされてみえます。
先日、種子島酒造よりお便りを頂戴致しましたので、ご紹介させていただきます。
『いつもご愛顧ありがとうございます。
鹿児島本土から43キロの洋上に位置する種子島は降り続いた雨があがり、すがすがしい夏の青空です。焼酎工場では本格的に仕込みが始まり、建物の外にまでも、蒸米の良い 香りが漂っています。
蔵は、もともと西之表の水源地の傍らに在ります。建物を見下ろすような小高い里山の奥には「水神様」が居られると言われ、塩・米・焼酎を持って道なき道を御参りに行くと聞いています。焼酎の製造には、その水神様の居られる里山の地下306mより汲み出す【岳之田湧水】を使用させていただいております。
間もなく原料の芋掘りも始まり、西之表を中心に点在する芋畑は活気にあふれます。東京ドーム40個分ほどの畑から掘り出される芋たちも、お日様を拝めるのはいつなのかと心待ちにしているはず。でも工場では、元気いっぱいの杜氏や蔵子が、芋たちの到着を今か今かと待っていて、日の目をみたはずの芋たちは綺麗にされて焼酎の原料へと加工されてゆきます。
種子島の「芋」「水」「人」が織り成す焼酎です。今年もきっと、美味しい焼酎が出来上がる事でしょう。お飲み頂く皆様に喜ばれ、感動していただけるような“うまい焼酎”を造って行きます。』